飛び立つ使者

きらきら還 − 使者

きらきら 還り道の途中
壊れたハリボテのイバショ
欲しかった物 ありえないもの
ひび割れて ずっと立ち尽くすヤミの中
どこにもなかった 何もなかった
  ドコノモナニモ・・・
立ち尽くしていた
長い事立ち尽くして
ひび割れと 散らばった羽
見つめていた

進みだす ゆっくりと 途は
  そう そして みなと
探さなければ向かわなければ

そして みなとについたキラキラ
“還る”地へ “みなと”から・・・
何に乗ってゆく
皆違う ココロが違うと乗ってゆく物は皆違う
鳥が好きだったキラキラ
カセをはずして
重い体から抜け出して
自由に舞い上がりたかったキラキラ
大きな鳥が きらきらの
“還る”地へ 連れて行ってくれる
このみなとから

大きな月が出ていた
“地”に向かって 景色の色は変わっていく
青と黒の世界から
少しづつ 色が淡くなってゆく
淡い 青と 緑そして紫
大きな月が 淡く青白く青と緑の光を注ぐ
行き先を指し示して 流れる光
淡く ぼんやりと消え入りそうな世界
大きな月が浮かぶ
静かな 静かに 光を受けて青 緑 紫
反射してキラキラと 岸辺に寄せる水たち
静かな月と水の世界

最後の世界に 最後の一枚に向かって
鳥の羽の中で 月の光の中で
ゆっくりと 記憶がまわる
ゆっくりと 鳥も羽ばたく
光をあびて まわる記憶
時は どちらへも 流れている
ゆっくりと 薄れながら
ゆっくりと・・・

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