咲く四季 〜冬

咲く四季 〜冬


枝は一段と今までに無く大きな
赤い硬い
赤 緋 紅
大きな目を膨らませていく
今までよりも
大きく広げて
これも
“咲く”

いろんな赤で
赤のスペクトラムを拡げて
それで満たし
花よりは小さくとも
大きな丸い“芽”を咲かせる
その中には
眠っている
それはこれから咲くものたち
この眠りから覚めたとき
3回咲くための華を
こめて
夢見て
そのために眠る
大きな芽

来年の春に伸びる芽と
人は言う
意味は知らなくても
冬芽だと
意味が違いが見えないならば
大きく広がり色つくことは
花と同じ
咲くのと同じ

ならば
これもまた
“華“
今迄で一番小さく
今迄で一番たくさんのものを籠めている
“華”

ソラの蒼は
厚い雲に沢山囲まれ
白が多くて赤をいっそう鮮やかにして
鮮やかなれと
白い氷の魔法をかける
ひらひらと空からも降る華たち
このときだけは
空も華咲く

はなよ

時の数だけ咲く華

そして
それをそれぞれの銘で呼ぶもの
その人たちも
日ごと朝ごと
色とりどりに
繰り返し咲き
数千回の咲く中で

数回
そして
ただ一度
生涯一度の
大輪の華
それぞれ違う
はな
咲かせる

日ごとの花とは
ちがう
特別の華と
その中に
次の多くの
“華”を込めた

その時を
咲かせるとき


咲くために
日々
咲く


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