「果てしない壁の前で」の絵、茶色の壁と空 「壁〜越えてもどこまでも」の絵、つらなる山々と赤紫の空

壁とその向こうに
〜「果てしない壁の前で」
「壁〜越えてもどこまでも」に添えて


よく見た夢

高い高い
壁が
すぐ
目の前にあって
それを必死で登る
上ると
ずっと向こうの広場で
“みんな”が楽しそうに居る
其処へ行こうとしても
その壁の
やっと上ったその壁を降りても
その先に
遠くかすむ先のほうまで
同じ
高い壁が連なって

わたしは いくら
壁を越えても
上って 越えて
繰り返す 永遠
終わりが無く
そうしているうちに疲れきって
上る途中で垣間見る壁の行列の外
壁たちの間から見え隠れして
広場
知っている子達だった
だぶん きっと

みんな笑顔で遊んで
転げてひとつに遊びまわる
みどりの広場
温かい輪 和
そんな風景
垣間見ながら
そんな
遠くで遊ぶ人々たちを合間に見えながら
どこまでも続く壁に
疲れきって
ひとつの壁を登って
上から向こうを見渡して
はるか先に続く壁の前に力尽きて
おわる
目が覚める

繰り返し見た夢
いつだったか
何度
見ただろう
いつか向こうに
其処に行く
そのはずで
途方も無く水平線まで続く壁
その列を
時に飛び越えてわたり
時につかまり損ねて
落下
落ちて見上げる壁の高さ
頂上が霞む
高いたかい
そして上って
高い壁低い壁
聞こえ続ける笑い声
近く遠くで
超えても越えても続く
壁の水平線
終わり無き
果てしなき
あるのは壁
永遠

次の壁に跳びつこうとして
飛んで
落ちかけて

体が重く
薄暗く
壁の狭間に
落ちた朝


いつも見ていた
永遠の繰り返し

たどり着けない

あとどれくらい
越えて
後どれくらい
和にたどり着く
越えは遠く
変わらずとおく
夢も今も
ある壁は
夢では見えて
此処では見えない
でもある壁は
隔てて世界
声からさえぎり
一人で壁の
中で

後どれくらい越えて
行き着くのだろうか
夢だろうか
感覚も無く
あるのはただ
何もかも影を隔てた
感覚
壁の
せかい

夢の中
壁が連なる
目が覚めて
ひとり
招く手は
壁の向こう
いつでもあって
つかもうと
延べて消える
壁の向こうに
それを知ってか
見ているだけで
壁の中で

越えていけますか
これは越えられるもの
足りない

勇気をください
此処から越えていく
ちからが
ほしい
でも
せかいは
わたしに手をくれるだろうか
越えた壁の向こうは

まだ続く
夢の中も外も
壁はずっと
水平線まで
越える日を夢の中
夢見ながら

永遠
ただ壁の中で


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