夜、真ん中に球体、まわりにほのかに光る黄色の灯、端に緑

灯夜



時が満ちるとしんとした空気の中
一年のうちわずかな時間
灯がともる
それははかない光
汚れた世界では消えてしまって
ずいぶんと辺りから消えてしまった
生き残った世界で
ようやく灯る
静かな灯
それはそれらの会話
夏の夜ひと時の
水辺のヤミのささやき
光が問うて
別の光が答えて灯る
静かな時間が流れる
わずかな時間
ささやきあう光
まだ汚れていない世界で
光が消えればそれは
世界が汚れたしるし
まだここは残っている
どこか知らない場所
でも
静かに世界が
綺麗なままで生きられる場所
そこに灯が灯る
その灯は命の灯
命をつなぎ
そして
それらの命とともに
その最後まで
灯り続ける
命が先か
光が先か
ぎりぎりまで
あるいは同時に
最後まで消えることなく
そして消えるのは命が終わったとき

どうして
そこまで懸命に
光をともすのだろう
光は時に群れとなり
夜を舞い
時には一人静かに
ひっそりと
儚くてでも
命として
飛び立ってから最後まで
灯す
どうして
何がそうさせるのだろう
どうして命の限り

まだ世界が綺麗なら
また命の灯は再びともる
命の意味を知ってかしらずか
その限り懸命に
光とともに
その最後まで
落ちて流れて
尽きるまで
懸命に
静かに
命をつなぎ
光とともに
最後を迎えるまで
命は

そして
祈り



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