「2012年5月21日朝7時30分」
暗い時代が続いている
その中で
少ない一つの話題が起きた
この国でも見ることが可能という
好天を祈って久しぶりに
人々は浮きたった
雲が多く駄目かと思ったその日
雲が切れたその時間
それは星が並んだ瞬間
長いすれ違いの軌道を繰り返し
訪れた星の整列
それも
ある一定の距離が
必要なその現象をつくった
普通の日食ではなかった
天に現れたのは指輪
この国でも見ることができるのは
前はいつだったろう
次はどれほど先だろう
みなが
天を望んだ時間
この日このとき
不思議な闇の光が
地上に降り注いだ
不思議な光だった
空には
重なった星
金環蝕
闇と光の中で