緑の葉から落ちるしずく、そして球体たち"

あふれる雫


どこからか
落ちてくる
葉を伝って次々に
転げ落ちていく
悲しい
落ちる雫は
葉を伝う
とどまろうとしながら
転げ落ちていく
どの葉にも
もう滴がたくさんついていて
その一滴に耐えられない
落ちた滴が
次の器へと落ちる
でもそこは
もう耐えられない
臨海線を越えれば
あふれるだけ
葉が重なって器をつくる
そこにたまった雫
でも
もうそこはいっぱい
落ちてきてはだめ
あふれて壊れてしまう
それでも止まらない
雫は伝い落ちて
器に向かってしまう
お願い受け止めて
でも
もう臨海線
あとほんの一滴だった
器は
受け止めなかった

一瞬の出来事
些細な最期の一つで
最初から何もかもの全てが
溢れて落ちた
壊れた器
こぼれた過去
そこに居たはずの者たち
全てを壊し
失って
最後の一つが残る

溢れそうだった
でも
受け止めてくれるかもしれないと
願ってしまった
そして
溢れた
願ってはいけないことだった
解かっていたのに
求めてしまった
その果てに
何もかもがどこかへ
もう
戻らない
もう
戻れない

このまま進むだけ

葉に雫が落ちる
伝い落ちて
また溜まる
そしてまた
崩壊を繰り返すだろう
最後の一滴の為に



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