羽根から消えていく鳥とそのまわりに球体たち

消えていく


繰り返す時間
ずっとたどって
このまま繰り返すだろうと
そんなはずはないのに思ってしまう
錯覚
流れる時間
さらさらと
同じ繰り返しで
永遠に流れ続けると思って
それまで受け止めもしなかった

気が付けば
そんなはずはなく
大切なものがこぼれていく
時間はさらさら
それとともに
ずっとあると思ってしまった
大切なもの
大切な思い
大切な手
たいせつなこころ
たいせつな・・・

受け止めようと
手を差し出しても
こぼれていく
さらさらと
あまりにさらさらで
指の間からするりと
逃げていく

とめてください
これ以上消えていかないように
零れ落ちて消え去ってしまわないように
いくら手を
受け止めるものを差し出しても
消えていく
さらさらと
消えていく
きらきらと

時は流れる
在ることが
そこに在ることが
当たり前だと思ってしまっていたものを
時間が来ては消していく
かけらがさらさらこぼれていく
気がつかなかった
そして
気がついたころには
もう受け止め切れなくて
どんどんさらさらと
受けようとしても溢れていく
零れ落ちていく

当たり前だと思っていた
大切なものはいつもあると
そんなはずはないのに
時が流れれば
時間が来れば消えるものだということ
忘れていた
そして
受け止めようとしても
さらさらきらきら
こぼれていく
消えていく
何もかも
こうして
消えていくのだろうか
どうか
わたしより先に消えないで
どうか
消えていくのは
そう
わたしもいつか
そして
その後も
時間は流れ続けるだろう
さらさらと
誰かの手からこぼれて
永遠に

私がこぼれていくとき
受け止めるものはあるのだろうか
受け止められたいだろうか
消えていく
消えていく
流れるままに
消えていこう
いこう
流れるままに
零れたものは
消えたものは
戻らない
そう
だから
いつか消える日まで



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