暗い空の下、積み上げた岩のてっぺんに一つだけの球体

孤高


気が付くと
いつも周りから外れていた
気が付くと
いつも突然周りが遠ざかった
そう
いつも
昔から気が付くと一人
何がいけなかったのか
何が相手にそうさせたのか
わたしは何をしたのだろう
そうしているうちに
社会からはずれ
家族ともどこか遠く
なにか
寂しい
なぜ
気が付くと一人なんだろう

不安定な感情
違う言葉
違う感覚
そして
周りは遠ざかった
そして
わたしは遠ざけた
そうしなければ
ますます築けない「関係」
互いに離れることで
遠くなることはない代わりに近くもなれなくなった
でもそれで平穏だった
一人であることが平穏の条件だった
わたしにとっても
周りにとっても

そして
それさえも
壊れようとしている
止まらない時間
やってくる世代交代
出来る空席とやって来る知らない人
「関係」が出来なくなる
出来なくなるのではなく
最初からとても出来ない人たち
だから
せめてこれ以上壊れないように
離れることで生きている
ひとりなら
誰も傷つけない

ひとりなら
もう傷つかなくて済む
それは
永遠の孤独と引き換えに
一部の過去を残して路を壊した
先はあるのだろうか
在ってほしいのだろうか
孤独と不安だけが募るこの先

さあ
次の一歩を進めよう
瞬間しかない現在から
先の見えない「未来」という次の瞬間へ
時間の流れに従って
現在という今しか見えない中
過去も未来も見えない中で
崩れ落ちそうな「今」という「時」の足元
踏み出してみよう
砕けた過去と見えない未来
そこへ
踏み出せば

さあ
足元には
路ができるのだろうか
それとも
無いままに

別れの寂しさと引き換えに
手にした孤独
そして
傷つかない代わりに「今」しか見えなくした
先を見るのはいつ
孤独からその寂しさから
どこに行くのだろう
最初から一人なら
孤独を知らずに過ぎていく
誰かと出会ってしまえば
一人だったことに気がついてしまう

そうして募る孤独感
そうして思い知る
一人でなければどうしようもないこと
どうしても心は
どこまでも孤独になってしまうこと

そして今しか見えない其処に
とどまることを望んだ

これ以上
孤独にならないために

崩れた過去と
見えない未来
現在という一瞬の瞬間の上で
出来上がった崖の上
崩れそうな足元
誰もいない
静まった中
まだ
一人たたずむ

これ以上
寂しくならないために



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