紺色の空、緑の丘、交わる大きな羽根、そして球体たち

遠い約束


おぼえているだろうか
まだ

遠い過去の時間
過ごしたある日
交わした約束
鳥が舞っていた
約束をした日

これから
皆がどこの路にそれぞれ
歩いていっても
いつか路が交差するだろう
その時に
また出会うことを
願って
約束をしよう
そのときは
「仕合せ」というものを
それにたどり着いていることを
まだ手にしたことがなければ
互いの路は交差しないだろう
それぞれの路に向かって
たとえ行きたくなくとも
時間が進むから
向かわなければならなかった
その前に交わした約束
その時の鳥たちが置いていった
羽根を手に

これでさよならだろうか
また会えるだろうか
まだ約束は
果たされていない
相手は今どうだろう
約束した仕合せ
つかんだろうか
そしてわたしは
仕合せまであとどれくらい
もしかしたら
時間をさまようこの今が
わたしにとっては
しばしの仕合せなのかもしれない
約束に
間に合うだろうか

遠い遠いあの日
交わした約束
次に出会えたなら
互いの羽根を交えよう
仕合せをたたえて
あの日の夢
叶えたろうか
遠い時間を超えて
仕合せに過ぎているだろうか
覚えているだろうか
あの遠い約束を

約束
仕合せ
遠い遥かな時間
あれからどこを進んできたのか
気がつけば
この手には
つかんではこぼれおちる砂
こぼれてはつかみ
花瓶の水はあふれ
受け止める手段もない
繰り返して
さらさらと
路はどこ

約束の場所に来たと思ったのに
誰もいなかったあの日
すれ違ったのか
もう
去ってしまったあとなのだろうか
忘れるほどに
仕合せになれたのだろうか
それならいい
それなら
まだ報われる

交わした約束
交わせなかった羽根
気がつけば遠い遠い時間
遥かかなたの約束

羽根を見つめる
掌に残ったそれを
それを交えるはずだった
遠い時間
どこへ行けばいい
何をつかめばいい
答えはない
在るのはただ
遠い昔の羽根一つ

いつかの約束
交わすはずの羽根
遠い過去と遠い未来
そして
はるかな
仕合せ



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