何があっても   05/2/14


おばさんがイギリスから帰ってきたそのお土産
たくさんのチョコレート
その中にひとつだけクッキーがあった
「ワタシは チョコは “食べられない”」
そういうことにしてちゃんと“本当”に近くなった
だから分けてもらったとしても返す

だからだろうか
カノジョはクッキーの箱をワタシの お土産のわけ分だと
そう言って ワタシにくれた
どうしたの
去年も同じお土産 でもワタシには一つもなかったのに
おばさんが気を使って
ワタシが おばさんの居ない間の植物の世話のお礼にと
クッキーをくれた
こっそりと
でもそれは
“そのときは”うれしかった でも
それをしてもらうことが“苦しい”
たくさんのいろいろなところでの思いの「スレチガイ」で
“嫌い”になっていくから

1箱ごと全部のクッキー
“わからなかった”

小さい頃から必ずみんなで分ける
わたし「いらない」といえばみんなの取り分が増えて「喜ばれる」
わたし うれしい
代わりもなく 何もなくなるだけ
そういう決まりだったのに
どうして
こういうふうにいつもと違って
一人だけもらってその代わり他のものはないけど
独り占めの形
あってはいけない形 悪いことの形
他のものは食べられないからうれしくても
特別の形 今までと違う
うれしいのに反応がわからなかった
こういうふうに今度は分けるの
の 意味が

“ミンナハイイノ ホントウニイイノ”
嬉しいよりも先に複雑な
何かがそこにありそうで うれしい コドモは素直に喜べない
だって今までと全く違う
必ず少しずつでもみんなの口にも入ることがいつもの方法

そして夜
一時の休息
暫く好きな部屋のいろんな間取りがたくさん載った本を見ながら
なぜか見ていると
いろんな空想がわいて楽しい本
読んでいて楽しいというだけで小説みたいな感覚でよむ
そういう思いがあって住みたいもあるけどただ
書いてある図や言葉間取りから起きる空想が楽しくて
わたしの少ない“たのしい”
明日からまた仕事忙しいから早く寝ないとね
寝ようとした

突然だった
涙ぐんだカノジョ
そして
お土産のクッキー
嬉しいといって笑って素直に受け取ると思ったのに
どうしてそんな風に疑うようにするの笑わないの
そうやってアパートの本ばかり見る
そうやって小さくなって
出て行く事を考える
どうして
どうしてどうして・・・

どうしたの急に
だって ワタシがココにいる理由は あなたは最初に言った
「オバアチャンとイエノコトをやってもらうために呼んだ」
「オトウトが言ったから呼んだ」
最初にはっきりと聞いた意味と理由
彼女としての
皆が“キチンと歓迎”しているという意味かもしれないけれど
私はそれらの言葉の“後ろ”がつかめない
本当に”お手伝い”のためか本当は”歓迎”かの区別
そんな表現ではどう受け止めたらいいのどうして

だからワタシは最初から
あなたの大切なシナリオを成功させるための黒子
それ以外に意味のない このカゾク舞台ののムスメ役
だから
オバアチャンの事ずっと付き添って
カノジョに言えない内緒のワガママ訊いて走り回って
ずっとそればかり
“ドウシテ ウタガイブカク ナニモシンジナクナッタノ”

疑うなんて
思いがけない ただいつもとあまりに違う形式に
とまどって
本当にいいのかなと戸惑って
後で実は冗談 なんて
こわくて
喜んだ後の絶望を恐れてしまった
それだけだったのに
どうして
だってそうでしょう
これだけたくさん今までに
これだけたくさんいろんな人に
どれだけたくさんの待ちぼうけと
真に受けたためにおきた出来事たち
シャコウジレイや“ケイシキ”の決まり文句
わたしはいちばん表面しかわからないそれに隠れた事を想像できない
最初はわからなかった でも“そういう理由から“だとわかった

コトバとニュアンスへの想像力が働かないの

そして他にも おねがい たくさん
言われたコトバは破れないから ほかの隠れた意味が見えなかったから
だからみんなやらないといけなくなる
そうしていないと怖くなる
“しなかったこと”が“間違い”だった時が怖くなるから
でも いろんなコトバ
すぐに変わるコトバ 感情それひとつで
混乱だけで 解らなくなって走るだけ
どのコトバを守れば良いのか誰も教えてはくれない
どうしてわたしはみんなみたいに出来ないのかもわからない

“ヨノナカ”というものは
“コトバ”を“そのまま”受け取ると
ちゃんと色々考えて想像力がないと
“カンジョウ”とか“日常”といった種類のものは特に
聞えた物と意味する物がずいぶんと違う物
そして一分先にも変わる物
それが“ヨノナカ”なんだ
そう
30年もかかってやっと解った

ココに居てはいけない
出たかったのか 出なければ なのか
わたしにはココの家は難しすぎる
一人でないと 難しくて混乱する
アパートの本
住めるはずのない払っていけない事わかっていて
でも 見ているだけで
なんだか夢があった たくさんの部屋の構成

“最後“がわかったらいいな
そうしたらすぐに”此処“に行くんだって
そう思ってみていた

それが
カノジョの気に入らない事だった
“悲しいこと” そうだ と
最後の夢も
見てはいけないものになって頭の中のハードの
“引き出し”か“ゴミ箱”へ移動する事になった

“もう充分だから オバアチャンのことは良いから 私が見る
あんたの楽しい時間をもう奪わないから“

そう言ったカノジョ が “わからない”
前にも何度かこんなコトバを繰り返しているから
そしてワタシの決まり文句を聞いて“アンシン”
そしてそれを繰り返した後何一つ変わる事は無い以前と同じ日常
変わった事は 「ダイジョウブ」 「イイヨ」 わたしがそのたびに返す言葉たち
その翌朝カノジョが昨日までよりもココロが軽そうになった事

ドウシテ ソンナニシンジナクナッタノ

これだけたくさんの待ちぼうけ
これだけたくさんの違うコトバ
一つにたくさんの本当と嘘がこもったもの
信じてなくした たくさんのもの

もう何も いいから
もう もどらない
“きらきら” は 戻らないから
“学生”最後の
一年間のうちの週に数日
許された今までに無い空間での生活
それだけが  きらきら
就職をして
ひとりでの日々
イバショ を 感じた
ワタシが動ける方法を知ってか その様に扱ってくれた
“主―あるじ 上司 指導者” 
ひとりでの生活ひとりでの
きらきら
もうそれでいいの
それでわたしが生きたのはその時間だけ
きらきらはそれだけでもういらないもう何も無い

忙しすぎるから
憶えていない言葉がたくさんあなたの中からわたしに
あなたはそんなつもりはなくとも
私がはじめて助けをもとめたときに
そのときその場で振り払った
その書類よりもわたしの“イノチ”という物は軽いことを思い知った瞬間
改めて思い知った瞬間
言い訳を言い始めたカノジョ
ソノ ショルイガ ナイト アンタガコマルカラ・・・
一時的に別にできると訊いた
ソンナ“フセイ”ヲシテ ハタラクコトハ イケナイコトダカラ・・・
不正でなく職場の会計士さんからのアドバイス
いまさらもういい
手を伸ばすのはもうあれで 最初で最後
そうしたい
悲しみは 渡したくない
だからもう解らないからこれ以上わからない
理解できないコトバをぶつけてこないで
今までどうりあなたの黒子
それでいるから いつもいるから
だからお願い
“見つけてほしかった”
今度は間違えなく絶対に表に見えないように動けばいいのでしょう
今度はシナリオどおりにあなたが付き添って都合のいいときだけ代わればいい
あの 祖母が入院する直前の最後の夜に
あなたで無くワタシがずっと居てしまった 付き添っていたワタシの間違い
偶然舞台の位置関係が悪かっただけのこと
台本にない“ヨテイガイ”ノコト
カノジョがやる役を取るような形になってしまった

そんなつもりもそんな気もなく
ただこれも舞台裏のことと勘違いしてしまっただけだった ごめんなさい
本当にごめんなさいそうして
これからこそ それを “間違いなく”するために
“今度退院してきたら私がオバアチャンに付き添うから別の部屋へ行って”というの
台本どおりに進まないといけないから
毎日は疲れるから
時時は変わって欲しい と
あなたがそう言ったように
“土日に休みたいから“ そうすればいい
ワタシには休みなど許されていないわたしのジカンは許されざる物
もうそれを十分すぎるほど持ってきてしまった

ドウシテ ソンナフウニナッタノ
チイサイコロハ アンナニワラッテイタノニ
ドウスレバイイノ

何度も聞いたコトバ
何度も答えを自分でわかっているコトバ
繰り返すのは
ワタシのコトバを決まり文句を聞いて軽くなるため・・・?

違う事を言ってみた 初めての 禁句

ひとつだけ

認めて欲しい 一緒に勉強して欲しい
たくさんのマニュアル作って
生きなければならないのなら
“ヨノナカ”に対処できるように
だから

自閉症を ASを
“認めてください”

ドウシテ イママダドウリノ セッシカタ ナニガイケナイノ
アンタハフツウ サイショカラ イママデドウリ
フツウニ アツカッテ ドウシテ イケナイノ
ソンナ リユウガ ドコニアルノ
イラナイデショウ ナニモ ヒツヨウナイデショウ“

AS
わかったとき全てのパズルが完成した
鍵が手に入った
そう思ってしまっただけのこと
“ワタシ”にとっては大切な事だけなこと
最後まで否定 それをココまで否定
悲しいけれど認めれば苦しみしかなくなってしまうだろうこと
だからもういいの
もうこれでいいの わかったの 黒子でいいの黒子でないといけないの
あなたの厄介者の黒子です シナリオを支えるため
それだけのために作られた黒子です
ココに呼ばれた黒子です
せめてそう思わなければ
もう歩けない
いればいるほど存在自体が苦しめる
“絶対に認めない 扱い方接し方 普通と同じでいけないはずがない”
もういいんです もう
あなたは苦しんでいるわたしが苦しめている日々刻々と
わたしは“ニチジョウとカンジョウ”この混乱する物たち
最後まで混乱したままマニュアルは未完成
だから
今までと変わらずに
一時でも早くワタシというイレモノに終わりがくる事を
それを待つことをたのしみに
ココでマリオネット
黒子でもピエロでもブリキの木こりでも
何でもなるから苦しまないでください
さいごに
今の仕事をやれるのは
ソト子―ヒロが いるから
そして
ワタシの扱いを知る ソト子に合った対応をしてくれる
“主”がそういう扱いをして仕事をくれるから
安定して情報処理も出来る
だからソト子はいわゆるよくできる子になれた
“わたし”がパニックや混乱を起こすのは
多すぎる情報を処理できない そういう扱いの元手のたくさんの情報
それだから混乱してわからなくなる
きちんと教えてくれないから
それも否定するから
そうしなければあなたは立っていられなくなってしまう
そうすればみんな壊れてしまう舞台かもしれないのだから

AS

やっと見つけたキーワード
“わたし”がワタシを作るしかないの
あなたはどうしても 何が合っても否定
これはシナリオにない事 これはヨテイガイノコト
これはシナリオを壊す事
そうしなければ 壊れてしまう
だから
さいごまで 認めない 認めるときは絶対にない
もう
なにもかも わからないワタシで
黒子は そのままで最後まで
一日でも早い最後のときを願って
そう
あなたとワタシタチは
最初から最後までかみ合う事の無い
ずっとどこまでも交わる事のない
平行線なのだから

平行な2本 平行線 崩れれば列車は走れないもの
何があっても
最初から最後まで
ずっと


(2008年6月一部加筆修正)

<日記>05年02月頃

いつもどおりの、どうしても苦しい、そして、ココの、かみ合わない一週間の始まるの日・・・。 カノジョが突然、涙ぐんで訴え出した。わたしは、集めてきた住宅情報誌を広げて,腸の動きをよくするマッサージをしながら楽しもうかなって、 (その間頭は空くので、手が使えないから)本を広げた。

カノジョは、昨日までイギリスへ行っていたおばさんのお土産のうち、 チョコレートがたくさんあって、クッキーがその中にひとつあって、それを、チョコはダメなワタシに,お土産の分配として、 くれた。

好きなクッキーだったので、嬉しかったけれど、クッキーとしてはワタシばかりで他の人の分は無いから、 他のヒトはチョコがたくさんあるといっても、なんとなく、昔からみんなで、もらった物はみんなで分けるという法則が有ったから、 罪の気がして、良いのかな良いのかなという気が先に飛び出した。カノジョはそれが悲しかった、期待はずれだったと訴えた。ワタシは、新しいマニュアルに混乱した。

ひとりだけもらったときは、嬉しそうに笑ってありがとうといわなければいけない。 でも、それは、いつもそうするマニュアルなのか、そうでないときはどういうとき、今までどうりのマニュアルはどうすればいいの、 悲しそうに、しかも、住宅情報誌ばかり見ているワタシを、どうして・・・とさらに悲しそうにするカノジョ。ワタシはどうすれば良いのか、 頭の中がどんどん混乱してくる、解らないと、わめきたかった、でも、コドモを何とか抱きしめて抑えながら、コトバを探した。

カノジョは知らない、ワタシたちの話しをすれば否定、ASを知らない、今までどうりフツウにしていればいい、何も必要ない、 そう言って譲らない。どうしてほしいの、オバアチャンの事で、あんたを今の状態にした私のせいであんたはこうなったの、 そう言って誤るカノジョ、そうじゃない、そうかもしれない、就職のとき出て行ったのは、出て行かないといけないもあったけれど、 わたしが、出て行きたい、それが、そのほうが強かった、でも、それは声にしてはいけないコトバ。

祖父母の手伝いは、コドモを止めた時間のコトバからの約束事。カノジョのコピーのワタシを作ってそれを中心に出ていただけ。 今は居ないみたい。

今度のオバアチャンの事は、カノジョは、この日は、自分がやるからあんたは自分ノコトをしろと言い出した。 またわからない、ココに来たとき、ココで“切った”とき、カノジョは殴って、どうしてそんなことしていつまでも情けない、 オバアチャンの事とイエのことしてもらうつもりで“此処“にくる事許した、弟があのまま一人暮らしさせておいたら死ぬといったからココに来る事にした、 カノジョはそう言って攻め立てるように訴えたから、ずっとそうしているのに、どうして?

カノジョは、気分というもので、一瞬先にも、ついさっきと違う事を言うときがあるから、混乱する。 だから、これも、それ用の頭の引き出しに仕舞うだけにしようと思う。出来るだけ、 カノジョの見えるところでは住宅情報誌を見てはいけない・・・。結局、また、なくなった。 わたしは、何もいらない、だから、ひとつだけ、ASを一緒に勉強してヨノナカに対応するマニュアルを手伝って欲しい、 それだけ。かみ合わないカノジョと一生かみ合わない。カノジョが否定し続ける限り。 でも、やっぱり、「どうして」と返って来た。

今までどうりでいい、なにか必要があるの、それに意味があるの。また、 それしかなかった。ワタシは、もっと上手に黒子にならないといけないね、仕事でうまくいっているのは、 うまくコントロールできる対応をしてくれるパートナー、主、そういう対応をしてくれる人だから混乱せずに出せるだけの力が出る、 それだけのこと。だから、カノジョも・・・。最後まで、無理と、改めて確信した、この日。

【選んだ理由】(菫)

  長いのですが、この唄も選ばせてもらいました。世間体を極端に気にするお母さん。 ASであることを絶対認めないお母さん。つらいね、琴ちゃん・・・。そして、 お母さんが繰り返してきた表面だけ(そのときの感情から)の言葉。信じられなくなるのも仕方ないよね。 そして、新しいマニュアルにうろたえる姿。

  こういう体験を日々苦しみながらしているのだなぁと、 心苦しく思います。今でも動揺しながらもパニックを抑えながら、新しいマニュアルを受け入れていっているのだなぁと思います。
  琴ちゃんのつらさと、ASの方の内面が分かる唄です。(2006年2月)


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