ケイヤクの場所にて  07/3/27


鎖 あなたはワタシから外れる事は無い
契約をした
19○○年○月○日
カノジョは慌てていたんだね
だからそこに居てしまったわたしと契約をしてしまった
出てきてビックリ
カノジョは何を思ったろう
思いもかけず こんなもの
でも大丈夫 ほら
今やっと
理想のムスメと息子がそろった
とおまわりして
いま 
ちいさなてが
そこにある


ケイヤク 生まれる前に出会う場所
それぞれのセカイの
わたしは迷い込んだところ
一人
カノジョがあわてて通りかかった
だれかさがしている
わたしは道を探している
ここはどこ どこに来たんだろうまた路に迷ったのかな
突然彼女が不安そうに時計を見る
間に合わない
わたしを見つけた彼女 おおあわて
ああ はやく じかんがない 早くケイヤクしなければ
消えてしまう

え なんだろう このひとは だれだろう
でも ずっとひとりだった 初めてつかまれた て

あわてて扉に向かう
とちゅう
ものかげ
誰かの視線
かなしそうな
あのこは

そして光
そしてたくさんの時間
そして
今あの子は
遠回りして
かのじょのてを
小さくつかんでいる
ちいさなて
ちいさな

光の中
やっと


<日記>07年3月ごろ

クロコは、本を読む。
“永遠の子供“。思い知る。親にとって、わたしたちのような、違うセカイの子は、一生子供の子を家族にして世界に入れていくには、その子に付きっ切りの状態で、その子に常に、”いる”事を発信し続け、そういうことに耐えられる心と、経済、精神的ゆとり、すべてがそろわなければ、苦しみしかもたらさない。
そして、そうすることを許される、その人たちの、周りの人たちの、目と、て、ココロ。ジョウシキ、セケン、法律、福祉、経済。
日本もでは、ナンテ、遠い世界なんだろう。
それなのに、ドウシテ、そういう違う世界から、わたしたちは来るのだろう、そして、“サヴァン”を、もたらすんだろう。
この本の子は、生まれたときの、わたしと同じ症状を持っていた。黄疸・むくみ。そして、ミルクを飲むことが、難しい。話すことが、話し出すまでがむつかしかったわたし。
カノジョは、ミルクを、一回に少しずつしかのまず、飲んでもはいてしまったりすることで、不眠や、疲れで、育児ノイローゼになるところだった。そして、私は、ほかの兄弟と違って、親の元を離れていても、あまり気にならない子だった・・・幼児期の、症状と行動が、自閉症児には、共通点がある。わたしにもあったものが。
くるしかった。かなしかった。
カノジョにとっては、悲しみをつくったわたし。せかいをまちがえた。
カノジョはあわてていた。わたしは、いつものように、道に迷って、違うところに来てしまった。そして、彼女は、ほんとうに出会うべき子と、時間が無い焦りから、迷い出てきた私と、あわてて、“親子の”契約をして、手を引いてきてしまった。そして、わたしは、水の中で、イヴと過ごして、トンネルを抜けて、カノジョの手に落ちた。
あの時、物陰で、悲しそうにたたずんでいた、ほんとうの子は・・・今、弟に手を引かれて、“娘”となって、その人を通して、カノジョを受け継ぎ、μの中にいる。

【コメント】(琴)

  親にとって、生まれた子が、ずっとそれまで将来を想像してわくわくしていたもの、そういうものとちがったら どれだけおちこむだろう わたしはそれをしてしまった
彼女はきっと間違えたんだ だからこんなに悲しいんだ だから・・・
わたしはどうして生まれてきたんだろう 彼女の悲しみの種なのに あわてていたんだねきっと だからほら こうして新しい娘は本当の娘 かのじょはよろこんでいる
ごめんなさい ごめんなさい・・・
(2011年01月01日記)


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