季節と時と〜〜華は咲き続く   08/03/24


「春」

すべての光のスペクトラムが
明度と彩度の
高いものをえりすぐったように
吾も我もと
波長が集う
色の洪水の中

それを創るのは花と呼ばれるもの達
それらを照らし移す
たくさんのソラの青
その合間を動く雲の形
千切れ雲大きいもの小さいもの
霞みかかって
澄み渡って

それぞれがそれぞれに
殻を破って拡げるものは
この季節には
明度と彩度の洪水
これをひとは

という
春といえば

という
“咲く”ものは
花のことだと


「夏」

春が過ぎた後に残った枝に
花という咲いたものが広がって
散り去った
その後から膨らんだ殻に
其処からそれを破り
広大な”緑”のスペクトラムすべてを
使い尽くすように
人が言う
“葉“
そういう緑を
咲き誇る
日差しが強くなる中で
ソラの青も濃くなり
くもの高く大きく広がる
募る雲と高い光
青、藍、蒼
緑、碧、翠
浅黄 鶯色 抹茶 ・・・

花と同じ
殻の中から伸び行来て
縁 楕円 そんなものを成長させて
拡げていくことは同じ
同じことをしても
違うのは
見た目は同じ

確かに実を結ぶために必要なものとそれを成長させるのに必要なもの
意味は違っても
それを知って気にしている人がどれくらい
ただ
色がきれいに見えるものは 花
緑色のものは 葉
それで終わることが
それで済むことが
あたりまえではないですか
それでいいのと
葉は
広がりながら
暑い季節を鮮やかに
厳しくても水を呼ぶため
空を護って星を護る
そうして
咲く
“華”


「秋」

それまで咲いた
“葉”と呼ばれた華
それが護った枝と季節
そうして膨らむものは
また同じところに
花といわれたものの後に膨らんで
みどりの “華”が育てた
“実”を
“咲く”
それまでの華の花弁は
その色がその実の
最初の芽吹きの葉になるように
そういうように
実が育つごとに緑を消して
穏やかな色で包み込む

暖色 橙 黄色 茶 紅
葉の色が
“もどる”
多彩な色に
春と違うのは
その
明度と彩度
春は高くて秋は低く
そうしてやさしい色で詰まったスペクトラムで包み込む
そうして
実を
“咲く”

咲くのは
実といわれる“華”
みどりを実の中に移した
葉といわれた“華”

ソラの藍は
少し低くでも
澄み渡っていく
これから来る冬に
そのために綺麗にするように
雲はその中を
薄く広くなって
さまざまな大きさで
やさしく流れる
包むような
雲の下

藍の下
穏やかに咲く
葉と実
そうよばれる
ひとはいう
それを枯葉と
紅葉と
実りの実と
同じ枝なのに
おなじ
芽が膨らんでいくような
殻の中から
拡がってきたもの
同じ
意味は違うけれど
誰もが気には留めなくても
とめないから同じ
差が無くなる
しぐさは同じ

人は言う
秋に咲く
それらを
紅葉と 木の実
これもまた
同じ枝のこの季節の
同じ咲く

“華”


「冬」

枝は一段と今までに無く大きな
赤い硬い
赤 緋 紅
大きな芽を膨らませていく
今までよりも
大きく広げて
これも
“咲く”

いろんな赤で
赤のスペクトラムを拡げて
それで満たし
花よりは小さくとも
大きな丸い“芽”を咲かせる
その中には
眠っている
それはこれから咲くものたち
この眠りから覚めたとき
3回咲くための華を
こめて
夢見て
そのために眠る
大きな芽

来年の春に伸びる芽と
人は言う
意味は知らなくても
冬芽だと
意味が違いが見えないならば
大きく広がり色つくことは
花と同じ
咲くのと同じ

ならば
これもまた
“華“
今迄で一番小さく
今迄で一番たくさんのものを籠めている
“華”

ソラの蒼は
厚い雲に沢山囲まれ
白が多くて赤をいっそう鮮やかにして
鮮やかなれと
白い氷の魔法をかける
ひらひらと空からも降る華たち
このときだけは
空も華咲く

はなよ

時の数だけ咲く華


そして
それをそれぞれの銘で呼ぶもの
その人たちも
日ごと朝ごと
色とりどりに
繰り返し咲き
数千回の咲く中で

数回
そして
ただ一度
生涯一度の
大輪の華
それぞれ違う
はな
咲かせる

日ごとの花とは
ちがう
特別の華と
その中に
次の多くの
“華”を込めた

その時を
咲かせるとき


咲くために
日々
咲く



<日記>08年02月ごろ

もう、これで、最後、
わたしはそこには入らない
彼女たちの夢 一番かなえるだろうと思った一人に事後承諾で消え去ったもの
それを最高の形でかなえた弟
その 夫婦 こども
貯金を渡した、彼女と話した、いつか行きたいと彼女が見たいといった場所への旅のため
彼女はXさんが、いろいろと相談や頼ることがうれしくて仕方がない、心配で仕方がなかった弟が、やっと発作の心配がなくなったことがうれしい
かわいい孫が二人もできて、なついてくれている
仕事も家も継いでくれる
さいこうの
ひとたちで
どうかいってください
わたしが行かない家族だけのたびへ

Xさんに直接、会って渡して、話をしたかった
だから、わざと弟に渡して言付けることはしなかった
彼女は“娘”に夢を見ているものがあるから
障害を認定受けて、みなに迷惑をかけることを避けるためと、せめて自分の“生きはじめた”場所で最後にいたい
もう疲れてしまったこともあり、感覚の相違と刺激への対応できないことで起きる、周りを振り回す可能性、わたしが誘ったところで“実行”はありえないこと
それゆえに、わたしは祖母と残って良いから、“役”を引き受けて、行きたいといういつかの旅行を、適任者である二人が誘いをかけてみんなで行って、生涯で一度でもそういう機会を実現して、二人なら、それが可能と、
そう確信から、頼み込んだ

【コメント】(琴)

   花は咲き続ける どんな場所であっても名前であっても いつも 永遠に
どんな花でも花は花 そうであるしそうであってほしい願い どんな姿形でも咲いているんだよ どうか忘れないで 毎日が咲く日であることを
どうか忘れないで、気がついて どうか・・・
(2010年10月記)


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